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定住、地域維持・おこしにつなげる法律の臨時国会成立を目指します

【地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案 立法趣旨】

2019 3 12 人口急減地域対策議員連盟

一. 現下の問題

  1. 我が国の総人口は前回の国勢調査で初めて減少に転じた。この減少傾向は今後加速され、推計によれば 20 65 年には 8000 万人 台 に減少するといわれている。わけても地方の人口は急激に減少しており「地方消滅」はベストセラー、流行語となった。著者の増田寛也氏はこのままでは 896 の自治体が消えると警告を発している。
  2. 人口急減地域は特に山間部に多く、高知県、島根県、秋田県、山形県、青森県、南九州をはじめ全国に及んでいる。
  3. 政府による地方創生政策はそれなりの成果を挙げているものの、特区制度、規制緩和、新型交付金制度等はいわば地方の優等生対策であり、地域人口の高齢化、若い担い手の不足と少子化に悩む地域を抜本的に救う政策とはなっていない。
  4. 他方、都 会で働く若者の中にはできれば地方で豊かな人生をおくりたいと希望する者が増加している。大都会では短期的な雇用 例えばパートタイム による不安定・低所得・低年金など人生の展望が 開けない人々が増加しており、外国人労働者との競合が今後増加することも予想される。
  5. 地方に長く住むことを希望し、いわゆる I ターン・ U ターンで働きたいと考える人々にとっての問題点は次の通りである。
① その地域の人々から信頼と敬意を得て活動できるか
② 給与水準が家庭を維持するに十分か
③ 住宅環境、子育て環境は十分か
④ 長期的な生活安定が得られるか、失業のおそれがないか、十分な年金などの老後の保障を得ることができるか

 

二. 法案の概要

  1. この法律は人口急減地域において国・地方公共団体の財政支援と制度的支援を組み合わせて上記の諸問題をできる限り克服し、人口のさらなる急減を抑止し、豊かな地方づくり・人づくりを推進しようとするものである。
  2. このため既存の法律上の組織である事業協同組合を活用することとした 。従来の 事業協同組合は特定の事業分野における共同事業等を行う例が多かった。地域 で様々な事業を営む 担い手を擁して地域づくりに貢献することは、 広い意味で 地域の中小企業・産業のためにもなり、事業協同組合にそのような役割を担わせることは、法律の本来目的にかなうものであり、今後とも特定の地域づくりの核となることが時代の要請である。

三. 特定地域づくり事業協同組合

  1. 事業協同組合は同一県内で活動する場合はその設立について知事認可となっていることも地方主体で判断することを容易ならしめる。さらに本法に基づく特定地域づくり事業協同組合として知事が認定することは、この組合が法律に裏打ちされた公的性格をもつことにつながり、国及び地方公共団体の財政的支援を受ける根拠とすることが可能となる。組合の職員は厚生年金に加入することとなり、様々な地域に移転して活動したとしても年金給付額は増加していく(地域おこしの仕事の専門家の育成にもつながる)。また生涯その地域で活動することを目指す人々にとって生活の安定が得られ、定住化に貢献できる。
  2. 組合の設立については地域ぐるみのサポートが必要である。既存の組織、例えば農協、森林組合、漁協、郵便局、製造業、サービス業、商業、運輸業、小売業、介護サービス業等々(個人を含む)がわずかの会費で組合員等となり、必要な人材を必要なときに提供してもらうこと、市役所や町村役場と連携して地域づくり人材の確保及び育成の仕組みづくりを地域で考えることが必要である。
  3. 人口急減地域の多くの産業従事者はそれぞれ雇用を増加したい場面が多いものの、常時雇用は人件費や社会保障費負担の増加がリスクとなるため事業を展開しにくい場面が多い。このような人材需要の地域全体のバランスのためにも事業協同組合による人材供給システムが必要不可欠である。

四. 期待される効果

  1. これまでの地域おこし協力隊、シルバーボランティア、地域おこし企業人等々の流れは地方にとって大切な傾向である。地方は今や大半が人口減少地域であり、大都市から地方へという働き方や人口の流れの変化が必要であることは当然である。
  2. この法律は、まず深刻な人口急減地域について自助努力を前提に財政支援を強化するとともに、ひいては長期的に住みやすい地方へ人口が回帰するための重要な役割を担うものである。
  3. 例えば冒頭に述べたように数百の自治体が消滅すれば、自然は荒廃し、有害鳥獣は跋扈し、災害が頻発するのみならず、住民の集団移転のコストは計り知れないほど巨額になる。
  4. 事業協同組合は自ら特定の事業を行うことはない。地域にはそれぞれの組織、企業がある。それらの民業を事業協同組合が人材供給によって支援することがこの法律の目的である。

五. 特定地域づくり事業協同組合に対する財政支援

  1. 事業協同組合は人材を供給した組織から契約に基づく対価を受け取るものとする。農業においては中山間地支援を前提とした適正対価、林業においては森林環境整備の支援を前提とした適正な対価がある。介護、商業等々も同様である。
  2. その対価を人件費等に充当してもなお不足分が予想され、国及び地方公共団体からの財政支援が必要となる。
  3. 全国で旧市町村単位の過疎地域、約1500 の25%が当面対象となると想定して400 組合として、別紙のとおり継続的に、事業規模約139 億円/年・国の財政措置約35 億円/年(H29 ベース)を見込んでいる。

地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案イメージ図

【印刷はこちらから:PDFファイルです。】

  1. 【立法趣旨】(PDF:414KB)
  2. 【イメージ図】(PDF:186KB)
  3. 【概要】(PDF:135KB)
  4. 【法案の位置付け】(PDF:394KB)
  5. 【条文案】(PDF:192KB)

2020/04/08